News2008
平成20年3月12日
安全で有効性の高い
絹たんぱく質「セリシン」使用の「細胞凍結保存液」を開発
〜日本再生医療学会にて発表〜
セーレン㈱(東京本社:東京都港区、福井本社:福井県福井市 社長:川田達男)は、20年来研究しております絹たんぱく質「セリシン」がマウスES細胞の凍結保存に有効であることを発見し、この機能を、再生医療実用化のために必要な細胞の保存技術の一つである「凍結保存」へ応用・実用化いたしました。
同内容を来る3月13日・14日に開催の日本再生医療学会(名古屋)にて、当社と福井大学寺田准教授との共同研究として発表いたしますのでお知らせいたします。
再生医療の実用化には、細胞の保存技術の発達が急務であり、保存に使用する「細胞凍結保存液」には安全性確保や細胞機能の維持が重要となります。 通常は「細胞凍結保存液」として牛血清や薬剤(DMSO:ジメチルスルホキシド)が用いられていますが、牛血清はロット間での品質のばらつきや、狂牛病(BSE)及びウィルス感染の危険ということで安全性の面で不安があり、DMSOは細胞機能に悪影響を及ぼすことが危惧されています。
一方、絹はこれまでに医療用縫合糸として使用実績があり、医療用途に適した材料と考えられます。
当社では、これまで産学官共同研究を通じた絹たんぱく質「セリシン」の機能解析を進めており、その結果、「セリシン」にはディフェンスプロテインとして細胞等、生体成分の安定化効果があることを認めております。
その一つとして親水性の高いアミノ酸から構成されるセリシンは、凍結による脱水ストレスを防ぐ有効な成分であることを発見し、今回セリシンを利用した無血清でDMSOを含まない細胞凍結保存液(商品名Cell Reserver One、ナカライテスク㈱より販売、特許出願中)を開発し、販売を開始いたしました。
本品は特にマウスES細胞において、既存の牛由来成分やDMSOを用いた細胞凍結保存液の場合よりも、「安全」でかつ「有効性が高い」ことを確認いたしております。
【 絹たんぱく質「セリシン」使用「細胞凍結保存液」の発表 】

発  表:日本再生医療学会
開 催 日:平成20年3月13日(木)/14日(金)
場  所:名古屋国際会議場
発表時間:3月13日 16:40〜17:40
発表題名:「絹タンパク質セリシンを用いた無血清細胞凍結保存液のマウスES細胞への有効性」
セーレン㈱研究開発センター 山田英幸、國富芳博、佐々木真宏
福井大学大学院工学研究科  寺田聡

発表内容:
(概要)
各種細胞の凍結・解凍後の生存率を調査した結果、特にマウスES細胞においてセリシン凍結保存液は従来の牛血清(FBS)を用いた保存液よりも40%高い生存率を示した(図1)。
図1 凍結解凍後の生存率
  セリシン凍結保存液(DMSO不含)
   FBS/10%DMSO

NHDF:正常ヒト皮膚繊維芽細胞
SIRC:ウサギ角膜由来細胞
Jurkat:ヒトT細胞白血病細胞
mES:マウスES胚性幹細胞

 p<0.05
**p <0.01
さらに解凍後のマウスES細胞から直接、胚様体(EB)を作製し拍動心筋へ分化したEB数を計測したところ、セリシン凍結保存液では牛血清と比較して拍動心筋分化率が最高で40%上回る値を示した(図2)
図2 マウスES細胞の拍動心筋への分化
  セリシン凍結保存液(DMSO不含)
   FBS/10%DMSO
  市販品(無血清DMSO含有)
ご参考

セリシンの凍結障害保護効果

 セリシンは凍結による脱水ストレスを防ぎます 
この件に関するお問い合わせ

セーレン㈱ 総務部広報担当 吉田 乃美 ・ 古賀 茉莉
東京本社 TEL03−5411−3411
福井本社 TEL0776−35−2111